ブランドコンセプトの作り方・手順
商品やサービスを世の中に届けるとき、ただ機能や価格をアピールするだけでは埋もれてしまいます。今、求められているのは「ブランド」としての魅力や価値。ブランドコンセプトは、そのブランドの“核”となる考え方や姿勢を言語化したものであり、顧客とのつながりを強くする重要な要素です。
この記事では、ブランドコンセプトの作り方・手順について、5つのステップで詳しく解説します。
1. 市場・競合の調査
まず最初に行うべきは、市場全体の状況と競合の動向を把握することです。これにより、自社ブランドがどのような立ち位置を目指すべきかが見えてきます。
具体的に調査するポイント
- 現在のトレンド(例:サステナブル、低価格志向、プレミアム志向)
- 業界全体のプレイヤー(大手・中小・新興ブランド)
- 競合ブランドのコンセプト・強み・弱み
- 消費者のニーズや課題(SNS・口コミなども参考)
例:アパレルブランドの場合
ファストファッションが飽和している中、「長く着られる上質な服」を求めるユーザーが増えている。競合は価格で勝負するが、サステナブルやストーリー性のあるブランドに支持が集まりつつある。
このような市場理解は、ブランドの方向性を間違えないための土台となります。
2. ターゲット・ペルソナの設定
ブランドは「誰に届けるのか」を明確にしないと、メッセージがぼやけてしまいます。ここで重要なのがターゲットの絞り込みと、より具体化した「ペルソナ」の設定です。
ペルソナ設定のポイント
- 性別・年齢・職業・居住地
- ライフスタイルや価値観
- よく使うSNSやメディア
- 困っていること、理想像
例:30代女性向けのスキンケアブランド
ペルソナ:都内在住の33歳女性、共働き、夜はセルフケアの時間が癒し。自然派だけど効果はしっかり欲しいタイプ。Instagramで美容情報をチェックしている。
このように具体的にすることで、響く言葉・ビジュアル・広告戦略も明確になります。
3. 独自の価値やメリットの検討
次に行うのが、「なぜこのブランドを選ぶべきか?」という理由づけを考えるステップです。ここでは他と差別化できる**独自の価値(USP:Unique Selling Proposition)**を見つけ出します。
独自性を見つけるヒント
- 商品の特徴・こだわりポイント
- 提供できる体験や感情的価値
- ブランドの背景や理念
- 他ブランドにはない取り組み
例:サブスク型コーヒーサービス
「毎月、あなたの気分に合わせたブレンドをお届け」「世界各国の農園と直接契約し、ストーリーごと楽しめる」
このような独自性は、ユーザーの共感やリピートのきっかけになります。
4. ブランドストーリーの作成
「モノ」ではなく「物語」で人は動かされる時代。ブランドストーリーは、ブランドに込められた想いや背景を語ることで、感情的なつながりを生み出します。
ストーリーに盛り込むべき要素
- ブランドを始めたきっかけ
- 創業者やチームの想い
- 苦労や転機となった出来事
- 未来に描いているビジョン
例:革小物ブランドのストーリー
「祖父が愛用していた財布を修理したことがきっかけで、長く愛せる製品を作ろうと決意。10年使える革小物を作ることを使命に、職人とともに立ち上げたブランド。」
感情を動かすストーリーは、共感を呼び、ブランドファンを育てます。
5. ブランドコンセプトの言語化
最後に、それまでに洗い出してきた情報をもとに、**ブランドの核となる“言葉”**をつくります。ここで作ったブランドコンセプトは、今後のロゴ・商品開発・広告・SNS運用など、あらゆる場面の軸になります。
言語化のポイント
- 一言で伝わるシンプルさ
- ブランドらしい語感やトーン
- ターゲットが共感できる表現
- 今後もぶれない指針になること
例:ブランドコンセプトの例文
「“自分らしく、心地よく。” 都会でがんばるあなたに、素肌に寄り添うライフスタイルを。」
このような言葉の軸があることで、ブランドの一貫性が生まれ、迷ったときの“道しるべ”になります。
まとめ
ブランドコンセプトは、「なんとなくいい感じ」では作れません。市場やターゲットの分析から始まり、言葉にするまでのステップを丁寧に踏むことで、はじめて強いブランドが生まれます。
もう一度、手順をおさらいしておきましょう。
- 市場・競合の調査
- ターゲット・ペルソナの設定
- 独自の価値やメリットの検討
- ブランドストーリーの作成
- ブランドコンセプトの言語化
この5ステップを実行すれば、あなたのブランドも、誰かにとって“特別な存在になっていくはずです。